私たちの団体名サルタック(・シクシャ)とは、ネパール語で「有意義な(教育)」という意味です。私たちは、世界中の全ての子どもたちが、人種や信条、性別、出身家庭等にかかわらず等しく「サルタック・シクシャ」を受けられる社会の構築を目指しています。それは、有意義な教育が子どもたち自身の成長や自己実現に結びつくことはもちろん、質の高い教育を受けた子どもたちが将来生き生きと活躍することで、家庭や地域社会、ひいては国際社会の発展を促し、より多くの人にとって幸せな環境の創出に結びつくと考えているからです。
今回、私たちが世界に多数ある言語の中から「サルタック・シクシャ」というネパール語を団体名とした大きな理由の一つは、先に述べたような課題(小学校に通う子どもが急速に増える中で深刻な質の問題を抱えている状況)がネパールにおいて顕在化しており、まさに「サルタック・シクシャ」が子どもたち個人にとっても国全体にとっても、喫緊の課題となっているからです。実際、ネパールでは95%以上の子どもたちが小学校に在籍できるようになりましたが、小学校4年生の10%以上は公用語であるネパール語の文字を理解できず、25%以上は二桁の整数を理解できていません。とりわけ農村部や貧困層では事態が深刻で、2・3年生の約80%がネパール語の文字を理解できておらず、約90%以上が100までの整数を理解できていないという実態が明らかになっています。
以上のような背景を踏まえ、私たちは活動の端緒としてネパールを主たる対象地域とし、質の高い教育が全ての子どもに行き届くような社会を目指して活動していきます。もちろん、「サルタック・シクシャ」は、ネパールに限られた課題ではありません。私たちは、ネパールにおける活動を通じて得られる知見やネットワークも活用しながら、ゆくゆくは日本を含む世界中のあらゆる国・地域で「サルタック・シクシャ」を実現すべく尽力していきたいと考えています。