緊急支援をするときに寄付先を選ぶ基準

紛争や災害が発生した際の緊急支援の時に、どこに寄付を行うべきでしょうか?

緊急支援では一刻の猶予も許されないので、どこの機関が何をどこでするのか、いちいち話し合っている時間すらも勿体無い状況になります。そこで、素早く無駄なく人道支援が実施されるために、緊急支援ではクラスターアプローチが取られています。これは簡単に言うと、各分野(水・衛生・シェルターなど)ごとに音頭を取る機関を決めて人道支援を実施するということで、ケースバイケースで機関が決められます。ネパールの地震でもFLASH APPEALという、緊急支援で実施する事とその予算を決めた文章が出されたので、これを基に話を進めていこうと思います。

まず、6ページ目をご覧ください。MAIN HUMANITARIAN NEEDSというのがありますが、これは該当する緊急支援で何が最も喫緊の課題かを表しています。今回のネパールの地震では、「水と衛生」・「食糧」・「テントと生活必需品」・「保健/医療」・「保護」の5つとなっています。大体の緊急支援でこの5分野が喫緊の課題として挙げられるので、寄付先を選ぶ際の基準はこの5つの分野で働いている機関にするのが良いかもしれません。

さらに、7ページ目をご覧ください。PRIORITY ACTIONS AND REQUIREMENTSというのがありますが、その下にあるグラフが分野ごとに必要な金額を示しています。ネパールの地震の場合、食糧が最も必要な金額が大きく、次いで保健、水・衛生となっています。この金額が大きい分野に寄付をすると、より人道支援で必要とされる資金を満たしてあげられるかもしれません。

もし余裕があれば、国連人道問題調整事務のHPを訪れてみて下さい。ページの下の方にFunding by Clusterというグラフがありますが、灰色で必要な金額が示され、青色で実際に集まった金額が示されています。つまり、灰色と青色の差が、各分野で足りていない資金ということになるので、このギャップが大きい分野に寄付をすると、上の方法よりもより効率的に緊急支援のための資金を補ってあげられる、ということになります。

次に、17ページ目をご覧ください。各分野ごとに担当機関が挙げられていますが、ここに挙げられている機関に寄付をするのが効果的だと思われます。というのも、緊急支援の専門性が高くかつ現地での活動実績がある、という条件を満たしていなければまず掲載されることはないからです。また、数多くの機関が入ると各分野の中でもさらに調整が必要となってくるため、人道支援の初期段階では大きな機関に資金を集中させる方が効率が良くなると考えられます。この機関は国連機関だけでなく、NGOも含まれます。

例えば、Save the Childrenは国際NGOですが、喫緊の5課題のうち「テント(シェルター)」・「食糧」で挙げられていますし、それ以外にも教育分野で名前が挙げられています(Save the Childreのネパール地震用の寄付ページは→こち)。

機関やNGOを選ぶのがめんどくさいという方には、国連人道問題調整所の中央緊急対応基金もよいかもしれません。この基金は緊急支援で資金が必要な所に配分されるので、効果的かつ効率的です(中央緊急対応基金のページは→こち)

 

では、自分でお金を集めて被災地に乗りこんだり、物資を集めて送るのはどうでしょうか?これらは、緊急支援の段階ではあまりお勧めできません。詳しい理由はガーディアンの記事に書いてあるのでご参照ください。この記事の中身を掻い摘まみつつ付け足すと、①専門性も経験もない状態では、緊急支援に立ち向かうことは効果的でも効率的でもないので、緊急支援の段階ではプロに任せるべき。②物資を送っても現地のニーズと会わない可能性が高いし、そもそも現地調達の方が安いし、現地経済の復興の一助となる。ですので、緊急支援段階では、できるだけ緊急支援を専門とする組織に寄付をしてあげるようにしてあげてください。